フォト

新ブログ

無料ブログはココログ

« オルタナティヴ・オリジンズ | トップページ | ストーン・プリズナー »

2010年1月17日 (日)

マーケットレモン

 Star Trek Online(STO) のオープンベータは数週間と短く、私はアクセスキーに当然当たっていないのですが、Cryptic Studiosからこんなメールが来た。

 プレオーダーされた方々に期間限定のプロモーション。

 スター・トレック・オンラインのライフタイム会員権が239.99USD!
 

 いあ、プレオーダーはしてない。外れるだろうとわかってベータ申し込んだだけ。
 ライフタイム=終身会員権ってことは、「この金額を一回こっきり支払えば、STO会費を将来にわたり二度と払う必要がない」という意味。私は、ここの言葉遣いはかなり選んで書いています。

 為替100円として2.4万円。ちなみに一年間契約のフィーは割引きありで119.99USD、1.2万円/年なので、ライフタイムは2年間でちゃら、それ以上続けばすべてもうけ、というつもりでしょう。

 もちろんオマケとして、ライフタイムのほうには最初からボーグキャラが使えます!というのもある。

********** 

 さて、マーケット・フォー・レモン(The Market for Lemons)という考え方があります。
 「情報の非対称性」についてはノーベル経済学賞も受賞してるからご存知の方も多いかもしれない。
 レモンとは、もともとの論文(George Akerlof)がアメリカの中古車市場を観察して書かれたものなので「ダメな中古車」を示す。一般には「欠陥車、不良品、故障がちな機械」。

 中古車が良質かダメかは買い手は事前にわからない。売り手はより正確に知っている。買い手はどの中古車も「平均的な品質」と想定するしかなく、それに見合った価格を支払わざるを得ない。
 売り手には商品をより高く売るモチベーションがあるので、わざわざダメな品質であるとは言わない。よってダメな車も、平均的な品質の価格で売買が成立する。
 一方、良質の中古車までもが「平均的な商品」であるとみなされるので品質に見合った対価を受け取ることができない。ダメな中古車(販売業者)が良質な中古車(販売業者)を駆逐してしまう、ともいえる。良質の中古車を売りたい場合は中古車市場に投げてはいけない、ということになってしまう。

 次の5つの基準にあてはまる場合、マーケット・レモンの可能性がある。

1.情報の非対称性。どの買い手も、売買の成立以前に商品の価値を詳細に検証し正確に評価することができないのに対し、すべての売り手は販売前からより正確に商品の価値を検証可能である。

2.売り手には、低品質の商品を高品質であるかのようにみせかけて販売するインセンティヴがある。

3.売り手には、信頼に足りうる公開手段がない(例えば高価値の中古車を販売する売り手が、それを買い手に知らしめることのできる信頼に足る手段がない)。

4.売り手(売り手の商品でなく売る人や企業など)の品質はピンキリであるか、または、平均的に著しく低い。すなわち買い手は売り手の品質に関して著しく悲観的である。

(注:商売上の倫理というか道義というか、そういうものについて悲観的という意味でしょうね)

5.効果的な公的品質保証制度の欠如(評判による制約や公的規制、および/または、効果的な保証/保障制度などがない)

 1970年代の経営学の話ですから、もう古典。今でもこのまま通用するなどと考えてはいけないし、ゲーム業界、MMO業界がこうだ!などというつもりも毛頭ない。もしそれをやるとしても、こんなところでは決してしない。

 例えば、当時のアメリカの中古車市場と、現在の同国のそれもすでに違うだろうし、日本の中古車市場と比較しても違う。
 インターネットは、情報の非対称性を緩和したのか、あるいはさらに増幅したのかもしれない(私見は後者)が、逆に売り手に対して「風評災害の脅威」というヴァーチャルな概念を植えつけたかもしれない。
 あくまでヴァーチャルな、です。ネットによってリアルが動くと信じるほど、私はナイーヴでものん気でもないので。もしそうだったら今頃イランの政権は変わってるだろう。目を覚ませ。

 さて、生涯会員権239.99USDを払うのがお得なのかどうか。
 このお方にきいてみた(なんで?!)。

Photo_2
 捕まえたルシを拷問しないといけないからあまり時間がないのw。手短にね。

 品質はどうなのでしょう?
 オープンベータは短期間であるし、クリンゴンサイドはやらせてもらえない、将来コンテンツはまだないだろうから、隅々までなんてわからないわよ。 だけどユーザの声を読んでいると、まあ「平均的」と考えるのが安全?
 Cryptic Studiosの最近作はChampions Onlineね。やはり平均的な評価を受けているようだわ。ライバル視されていたBioware/EAのStar Warsは一年延期になったけど、むしろ品質作りこみに時間をかけてるんじゃないかと逆に好感されちゃってるみたいね。促成栽培批判?もあるかもね。

 売り手の態度は良い?
 Cryptic Studiosは開発者、ディヴェロッパーだよね。過去にもいくつか良質のMMOを出してるね。でもビジネスサイドの意思決定はパブリッシャーであるAtari・・・。
 あそこは、またしてもCEOがクビになったようね。過去の重役がネットで猛然とAtariを批判してる。すでに倒産寸前というか、資金繰り的にはもう倒産してるに等しいらしいね。青息吐息
 少しでもキャッシュ・レベニュー(収入)が欲しいところでしょうね。

 レビューとか信用できますか?
 信用できないわw。だってゲームサイトはゲームメーカーからの情報で成り立ってるんだから、基本は提灯記事よ。
 ただ、料理漫画を紐解くまでもなく、強者(Blizzard他)にはぺこぺこするが、弱者にはとことんつらく当たるのは評論家の常。それと国家的な問題もあって、北米では評価にあたって日本プレミアがある一方で、日本ヘイトも当然あったりする。
 そもそも、レヴュアーの嗜好と君の嗜好がどれだけ乖離してるかわからないじゃない?
 メタスコア? 誤謬の総和かもしれないし、もっとも恐ろしいことにはスコアの信頼性を高めようとしてプレイヤーの数を増やすと、スコアはだんだん「平均的」なものに落ち着く傾向があるのよ。他の人のスコア見てもう一度考え直すような、「デルファイ方式」みたいなことにもなりかねないし、そういう面での悪しき「グループシンキング」も働いてしまうのよね。

 他のMMOの売り手は?
 ピンキリだと思うわ。王者Blizzardはおいておいても、AtariでいえばTurbineなんか比較的良心的だし、STOだとEVEと競合する部分が出てくるとすると、あそこはコアだけどかなり手ごわいわね。逆にK国かなんか、USでもおしなべて低評価をいただいてる会社もあるようだし。中古エンジンをちゃちゃっと色だけ塗り替えて、さっさと出しちゃえ、というMMOは相当あるんじゃないの?
 
 品質保証ってあるんですか?
 ユーザの評判には多少左右されるだろうけど、もちろん公的な保護などないわよ。そういうのが一番ない業界じゃない?
 ゲームの品質保証、QAってようするに開発遅れを誤魔化すための方便だから。QAの最終チェックで手間取ってるとかね。
 クソゲ・・・失礼、ダメなゲームを買ったからといって、なにかの消費者保護を受けられるとは思えないし、法的手段に訴えるほと多大な労力を掛けるほどの損害なんて、受けることあるの?

 え? 

 えええーっ。

 5つの基準にまんまあてはまるって、マーケットレモンじゃん!

 Photo_3
 レモン? ああそうね、囚人の傷口にレモンとかすり込むの面白そうねw、さっそく試してみようw。

 結論。

 2.4万円あったら新作洋ゲー4つくらい買える。一年くらいもつよ。
 やっぱライフタイム会員権は、パス。

 

« オルタナティヴ・オリジンズ | トップページ | ストーン・プリズナー »

Star Trek Online」カテゴリの記事

ゲーム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1250934/33016221

この記事へのトラックバック一覧です: マーケットレモン:

« オルタナティヴ・オリジンズ | トップページ | ストーン・プリズナー »

2015年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31